國比呂少年怪異譚・第二夜
ところが後日、兄さんはその立ち飲み屋でまたおばさんに会ってしまい、無理矢理店に連れて行かれた。

というのも、おばさん以外に痩せたおじさんと若い女が居て、ちょっと逃げられなかったんだそうだ。

ちなみに、おばさんはトキコさん、若い女はケイちゃん、おじさんはヤスオさんというそうだ。

(絶対、宗教の勧誘だよなあ…)

そう思いながら、その3人の後ろに付いて行った。

店に行くまで誰も喋らないものだから、ケイちゃんに話しかけてみたら『ヒィー!』とか悲鳴上げられて、会話が出来なかった。

ヤスオさんが「ごめんな、君が怖いんだ」なんて言うものだから、何だか凄く悲しかったらしい。

きっとケイちゃん、兄さんの好みだったんだね。

それから店に着いたんだけど、ただの占いの館だったそうだ。

宗教の勧誘ではなさそうだと思い、『占いでもしてくれんのかな』と期待していた。

しかし店に着くなり。

「あんた、私達と仕事しないか?」

トキコさんが言ってきた。

『はあ?』と思いながら話を聞いていたら、何でもその3人は御祓いを仕事にしているらしく、兄さんに付いてきて欲しいと言ったらしい。

その当時は大学生だったので、兄さんは断った。

でもそのおばさんは引き下がらず、『土日のバイトだと思ってやってくれないか?』と頼まれた。

兄さんは天野の家の人間の癖に、幽霊や神様はまるで信じないので、まあいいかなくらいの気持ちで了承したらしい。

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