國比呂少年怪異譚・第二夜
……数日後の土曜日に、ケイちゃんから兄さんに電話が来た。

『出る』家があるから、仕事に付き合ってほしいとの事。

ケイちゃんに気がある兄さんとしては断れない。

ケイちゃんと共に仕事の依頼主との待ち合わせ場所に行くと、そこにはあの時の男が車で待っていた。

「悪いね。乗ってくれよ」

……こいつ、別人を装ってお祓いの仕事の依頼をして来たらしい。

男の目的地は、高級住宅街の塀に囲まれたでかい豪邸だったが、車が停まった時には兄さんの隣のケイちゃんは硬直して真っ青だったそう。

「悪いね。大丈夫だよ、俺ら部外者だし、出入りしても手ェ出さなければね」

男に促されて渋々降りたケイちゃんは、その豪邸を見上げて、引き攣った顔で男を見た。

「……本気で?」

「まあね……ここんちの奥さんが、すげぇの憑いてるんだよ」

「何言ってんの?その人が助かったって、周り中に散って広がるだけじゃ」

「俺も考えたし……出られないところに押し込めて殺り合ってもらえばいいんだろ?勝敗つくまで、徹底的にさ」

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