國比呂少年怪異譚・第二夜
國比呂が「下がってっ!」て叫んだのが同時だった。

覗いた奴がびびって身体引っ込めた。

そのすぐ後に、「カシャ……」だか「ズシャ……」だか、何か金属っぽいような小さな音がした。

「下がって!下がって!こっち来てっ!」

國比呂が喚き出すまでもなく、もう何か、すごい嫌な感じが一杯だった。

カシャカシャ、ガシャズシャ、て変なジャリジャリした音が、しかもどんどん増えながら来るんだよ。

その訳解らん井戸の中から、

こ っ ち に 向 か っ て 。

もう逃げたいのに身体が動かなくて、横見たらやっぱり仲間がへたってるし、音は近づいてきて、姿は見えないけど絶対に何か居たと思う。

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