國比呂少年怪異譚・第二夜
僕は、すぐさま兄を真っ青にしたあの白い物体を見てやろうと、落ちていた双眼鏡を取ろうとしたが、兄の言葉を聞いたせいか、見る勇気が無い。

しかし気になる。

遠くから見たら、ただ白い物体が奇妙にくねくねと動いているだけだ。

少し奇妙だが、それ以上の恐怖感は起こらない。

しかし、兄は…。

よし、見るしかない。どんな物が兄に恐怖を与えたのか、自分の目で確かめてやる!

僕は、落ちてる双眼鏡を取って覗こうとした。

その時。

「見るなぁあぁぁあぁぁっ!」

祖父がすごい焦った様子でこっちに走ってきた。

僕が何事か訊ねる前に、すごい勢いで祖父が迫ってくる。

「あの白い物を見てはならん!見たのか!お前、その双眼鏡で見たのか!」

「いや…まだ…」

少しキョドキョドした感じで答えたら、祖父は安心した様子で、その場に泣き崩れた。

僕は、訳の分からないまま、兄と共に家に戻された。

祖父の家に帰ると、家族のみんなが泣いている。

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