國比呂少年怪異譚・第二夜
じいちゃんの運転する軽トラが先頭、次が自分が乗っているバン、後ろに親父が運転する乗用車という車列で走り出した。

車列はかなりゆっくりとしたスピードで進んだ。

恐らく20キロも出ていなかったんじゃないだろうか。

間もなく須磨子さんが呟く。

「ここが踏ん張りどころね」

彼女は、何やら念仏のようなものを唱え始めた。

「ぽっぽぽ、ぽ、ぽっ、ぽぽぽ…」

またあの声が聞こえてきた。

須磨子さんからもらったお札を握り締め、言われた通りに目を閉じ、下を向いていたが、何故か薄目を開けて外を少しだけ見てしまった。

目に入ったのは白っぽいワンピース。

それが車に合わせ移動していた。

あの大股で付いてきているのか。

頭はウインドウの外にあって見えない。

しかし、車内を覗き込もうとしたのか、頭を下げる仕草を始めた。

窓を覗き込む、あの美しい女性の顔。

寂しげに、悲しそうに見える。

まるで僕との別れを惜しむような。

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