國比呂少年怪異譚・第二夜
親父が言う森ってのは、俺達が住んでるとこに小規模の山があって、その麓にある場所。

樹海みたいなもんかな。

山自体は普通に入れるし、森全体も普通なんだが、中に入ってくと途中で立入禁止になってる区域がある。

言ってみれば、四角の中に小さい円を書いて、その円の中は入るなってのと同じで、極めて部分的。

2メートル近い高さの柵で囲まれ、柵には太い綱と有刺鉄線、柵全体には連なった白い紙が絡まってて(独自の紙垂みたいな)、大小色んな鈴が無数についてる。

変に部分的なせいで、柵自体の並びも歪だし、とにかく尋常じゃないの一言に尽きる。

あと特定の日に、巫女さんが入り口に数人集まってるのを見かけるんだが、その日は付近一帯が立入禁止になる為、何してんのかは謎だった。

色んな噂が飛び交ってたが、カルト教団の洗脳施設がある……ってのが一番広まってた噂。

そもそも、その地点まで行くのが面倒だから、その奥まで行ったって話は殆どなかったな。

親父はBの返事を待たずに、お母さんを連れて2階に上がってった。

Bはそのまま家を出て、待ち合わせてた俺やAと合流。

そこで俺達も話を聞いた。

「父親がそこまで言うなんて相当だな」

「噂じゃカルト教団のアジトだっけ。捕まって洗脳されちまえって事かね。怖いっちゃ怖いが……どうすんだ?行くのか?」

「行くに決まってんだろ。どうせ親父のハッタリだ」

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