國比呂少年怪異譚・第二夜
「A、お前だけちょっと歩いてみてくれ」

「?……何でだよ」

「いいから早く」

Aが不思議そうに1人で前へ歩いていき、またこっちへ戻ってくる。

それを見て、Bは考え込むような表情になった。

「おい、何なんだよ?」

「説明しろ!」

俺達がそう言うと、Bは、

「静かにして、よ~く聞いててみ」

と、Aにさせたように1人で前へ歩いていき、またこっちに戻ってきた。

二、三度繰り返して、ようやく俺達も気付いた。

遠くから微かに聞こえてきている音は、俺達の動きに合わせていた。

俺達が歩き出せばその音も歩き出し、俺達が立ち止まると音も止まる。

まるでこっちの様子がわかっているようだった。

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