國比呂少年怪異譚・第二夜
人を食らう大蛇に悩まされていたある村の村人達は、神の子として様々な力を代々受け継いでいたある巫女の家に退治を依頼した。

依頼を受けたその家は、特に力の強かった1人の巫女を大蛇討伐に向かわせる。

村人達が陰から見守る中、巫女は大蛇を退治すべく懸命に立ち向かった。

しかし僅かな隙を突かれ、大蛇に下半身を食われてしまった。

それでも巫女は村人達を守ろうと様々な術を使い、必死で立ち向かった。

ところが、下半身を失っては勝ち目がないと決め込んだ村人達はあろう事か、巫女を生け贄にする代わりに村の安全を保障してほしいと大蛇に持ちかけた。

強い力を持つ巫女を疎ましく思っていた大蛇はそれを承諾、食べやすいようにと村人達に腕を切り落とさせ、達磨状態の巫女を食らった。

そうして、村人達は一時の平穏を得た。

後になって、巫女の家の者が思案した計画だった事が明かされる。

この時の巫女の家族は6人。

異変はすぐに起きた。

大蛇がある日から姿を見せなくなり、襲うものがいなくなった筈の村で次々と人が死んでいった。

村の中で、山の中で、森の中で。

死んだ者達は皆、右腕・左腕のどちらかが無くなっていた。

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