甘い言葉の甘い罠


そして、あろうことか。さりげなく前に屈むと、


―――その整った顔を近付け、柔らかい唇を私の唇に軽く触れた。


「………っ???」


当然ポカンと固まる私。
周りからは見えていない位置で。


間違いなく目の当たりにしているのは松嶋さんだけだ。


まるで見せつけるかのように。
これは一体、どういう状態か。


頭が真っ白になる。


えっと。
工藤さんは、工藤さんは。
確か社内ではないけれど奥様がいて。


えっと。
これはよくないことですよね???


「少し酔ってしまったみたいですね…失礼」


えええっ!?
そんな問題ですか!?


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