甘い言葉の甘い罠
更なる誘惑?
そして翌週始めのことだった。
「菜々元さん、外線。KISARAGIさんから」
事務所のパソコンでデータ集計しているとき。
「あっはい、すいません。ありがとうございます」
電話を代わって驚いた。
どうせまた松嶋さんの文句だろうと思ったのだ。
「深雪さん、お疲れ様です竹下です」
「はい??どちらの……お間違いでは??」
ふう、と笑いにも取れるため息をつくと、
「お忘れですか?先日お会いした竹下です。竹下悠真」
「あっ?あ~~っ?ああっ!!」
まるきり想定外の方角からの名前に戸惑い、前髪をくしゃくしゃと掻いて、乱れたところでようやく思い出す。
「あの、パーティーのときの!!」
「はい。思い出していただけましたか?折り入ってご相談がありまして。改めてお会いしたいのですが、連絡先をお伺いしても?」
「相談??なんの……」
「詳しくはお会いできたら」
なんだなんだこれは。
この怪しげな展開は。