甘い言葉の甘い罠


駅前の某有名カフェに入ると、彼が立ち上がって会釈する。


夕方のカフェはさすがにひと気は少なく、外には食事の買い物から帰宅するらしい、ネギの入ったスーパーの袋を片手に急ぐ女性も視界に入る。


大変だなと横目に見ながら、レギュラーのコーヒーを注文する。


待ち合わせとはいえ、何も買わずには出られない。


「あの、お話とは」


「飲みに行きませんか?お仕事終わりでお食事もまだでしょう?」


「………用件だけ伺うわけにはいきませんか」


さすがにほぼ初対面で、抵抗があった。


それにしてもこんな風にさらりと女性を誘う子もいるのか、最近の若い子は、と逆に感心する。


「あの、興味がありまして」


「はっ?!」


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