甘い言葉の甘い罠
「…やっぱりあなただったんですね」
「えっ?ええっ??」
「自首、しますか?犯罪ですよこれは」
彼女さんに掴まれた腕を放そうともがく私の腕をさらに掴むと、
「今ならまだ穏便に済ませられますが。データはどこにやりました?足がつかないようにネットカフェで書き込んだんでしょう?」
「仰る意味がわかりません!!」
全力で否定し、なんとか逃げようとするけれど掴んだ腕の力が強い。
こんなときなのに、妙に一瞬ドキッとしてしまった。
「離してくださいよっ!!」
じたばたしながら、
「大体どうしたら私がスタッフ事務所に入れるんですか!?」
「登哉さんに案内されればできるわ!」
そんなばかな。
「この際だからはっきり言わせてもらうけど。神島由理(カシマユリ)。登哉さんは誰にも渡さないわ!」