甘い言葉の甘い罠
***
参った。
なんでこんなことに。
計画が台無しじゃないか。
なんだこのハプニングは。
まずい。
心臓の音が彼女に伝わってしまう。
せっかくここまで冷徹な男で通してきたのに。
彼女にもそう思われてるはずなのに。
―――すごくいい匂いがする。
どんなシャンプーを使ってるんだろう。
微かに触れた肌が温かく柔らかかった。
困った。
誰か助けてくれ。
嫌われたくない。
変なことをして嫌われたくない。
どうすることもできず、暗闇で手をじっとしているしかなかった。