心ときみの物語


「……嫌いになれないよ。だから私も苦しかった。雪乃の引っ越しが決まって寂しくて寂しくて」

「え……?だって、報告した時は笑って元気でねって。たまに手紙送るからって。それで私、佳苗の気持ちなんてその程度なんだって……」

「逆だよ。強がってないと寂しすぎてどうにもならないから……」


そんなふたりを見ながら俺はため息をついて、
本殿の階段に座りこんだ。

本当、面倒くせーを通り越して笑えてくる。


「地球の裏側にいくわけじゃねーのに大袈裟だな」

聞こえないように言ったのに、同時にふたりが俺を睨んだ。

「大人には分からないよ!」

「飛行機に乗らなきゃ会いにいけない場所っていうのは、子どもにとって地球の裏側と同じなの!」

へえへえ、そうですか。

恋愛より厄介だね。女の友情ってやつは。
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