心ときみの物語
「んで?ちゃんとこれがどういうことか分かって書いたんだろうな?」
俺はテーブルの上に黒い絵馬を置いた。
田崎 淳平(たさき じゅんぺい)
沢城 清香(さわしろ きよか)
そう白いペンで書かれた名前。しかも字体は歪で、何度もペンを止めて書いたってバレバレ。
「も、もちろんです。エニシさまお願いします!清香さんとの……彼女との縁を切ってください!」
淳平は深々と俺に頭を下げた。
……なんだかなあ。
人は見掛けで判断できないけど、どう見てもこいつは縁切りには向いてない。
1週間悩みに悩んでここに来たならもう少し覚悟を決めてこいよ。じゃないとやりづらくて仕方ない。
俺はポリポリと顔を掻きながら、やる気のない返事を返す。
「うーん。とりあえず清香との関係からまずは話を聞こうか」