心ときみの物語

***

次の日。俺は街に行って目立つ看板の前で淳平と待ち合わせ。暫くしてスーツ姿の淳平が慌てて走ってきた。


「す、すいません!お待たせしてしまって……」

額の汗をハンカチで拭いて、必死で息を整えていた。


「日曜も仕事なんて大変だな」

「いやあ、本当は休みだったんですけど急に上司の人に呼び出されちゃって……」

「雑用?」

「まあ……はい」

淳平みたいなタイプは仕事を押し付けるのにちょうどいいんだろうなって思う。俺が同じ会社の上司でもそうするな、うん。


「それでエニシさま。本当に行くんですか……?」

隣で淳平が不安な顔をしていた。

「当たり前だろ。直接見なきゃどんな感じかわかんねーだろうが」

「そ、それはそうですけど……」

俺たちが向かっているのは彼女の家。

そう、沢城清香の実家だ。
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