心ときみの物語
「姉妹っていいですね。羨ましいなあ」
「ってかお前なんで此岸(しがん)の人間と友達になってんの?」
「ああ、私にもしっかりした姉か慕ってくれる妹がほしい」
「つーか最初に言ったじゃん。お前はすぐ私情に流されるからあんまり馴れ合うことはするなよって」
「いずれ恋の話を相談したりして。はあ、本当に羨ましい」
「友達になるとかさあ、俺の気持ちも考えろって話だよ。なんなんだよ。だいたいお前はさー」
「ちょっと!さっきからエニシさまうるさいんですけど!」
「え?俺がうるさいの?ってか怒ってんの俺のほうなんだけど!」
先ほど神社を訪れたあの姉妹。
姉の名前は花咲(はなさき)つぐみ。
妹の名前は花咲まゆか。
つぐみは17歳の高校2年生。一方のまゆかは9歳の小学3年生。
まゆかは小学校の帰り道にいつもこの神社に寄る。そうしている内に小鞠と仲良くなって、きっと参拝の仕方は小鞠が教えたのだろう。
それは別に問題じゃない。問題なのは姉のつぐみのほう。