心ときみの物語
花咲つぐみの見た目は今どきの女子高生。肩までのセミロングに淡い茶色の髪の毛。両耳にはピアスの穴が二つずつ開いていて制服も着崩している。
俺は話を聞くために拝殿の中へと招いた。
なにかされるんじゃないかと後退りしていたけど、小鞠の姿を発見して安心したのかつぐみは部屋の中へと入った。
「お茶は温かいのがいいですか?それとも冷たいのがいいですか?」
小鞠が問いかけるとつぐみは小さな声で「冷たいの」と答えた。
それにしてもつぐみはなんだか掴めない少女だ。
化粧をばっちりして見た目は派手なのに、茶色い髪の毛の根元はかなり黒くなっていてピアスの穴は開いているのにピアスは付けていない。
その上、爪も短く切り揃えていて、無愛想なのに足を崩さずにずっと正座。強気なのに腰を抜かすほどビビりで、おまけに警戒心も強い小心者。
「んで?この名前の人とはどういう関係?」
俺はテーブルの上に絵馬を置いて〝花咲宗一郎〟の名前を指で2回叩いた。
「……父親」
ぽつりとつぐみが答えた。