心ときみの物語


2年前、つぐみの母親は対向車線から飛び出してきた大型トラックと追突して運転していた母親は即死だったそうだ。

その助手席に座っていたのは父親の宗一郎。


つぐみの母親は普段から滅多に運転しない人で、免許は持っていてもペーパードライバーと変わらない腕前だったらしい。だから買い物や車を使う時はいつも宗一郎が運転をしていた。

だけど事故の前日に宗一郎は仕事で腰を痛めて。

『買い物はまだ大丈夫』と母親は運転を渋ったらしいけど、『しなきゃ上手くならないから』と宗一郎はハンドルを握らせて、そのまま買い物に出掛けた。

そしてその道中で事故に遭い、つぐみの母親は帰らぬ人となった。


「……運転席は原形がないぐらいめちゃくちゃで。私とまゆかはお母さんの最後の顔を見せてもらえなかった」

それぐらい悲惨な事故だったんだろう。
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