心ときみの物語


着いた先は駅前のカラオケボックス。

店内には流行りの音楽が流れていて、俺は指定された部屋に無理やりつぐみを押し込めた。

「ほら、歌え」

デンモクとマイクをその手に渡す。


「はあ?意味わかんないし。ってかバイト休めないし、まゆかは……」

「まゆかは心配すんな。小鞠が責任持って送り届けるし、それでも不安ならお前が帰ってくるまで近所の公園で遊んでるってよ」

「……なんでそんなこと分かるの?電話とかしてなかったじゃん」

「そういうことができちゃうの。俺神様だし?」

「………」

でた、その目。

神様は嘘だけど、まゆかのことは本当だよ。小鞠とは常に意志疎通はできるようになっている。それを一から説明するのは面倒だから言わないけど。

「ストレス溜まってんだろ?」

諭すように言うとつぐみはポケットからスマホを取り出した。

「ちょっと待って。バイト先に連絡するから。
あと代わってもらえそうな先輩にも電話していい?」

つぐみは本当に真面目というか。自分がちゃんとしないとって責任を背中に背負ってる。
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