空と君とダイヤモンドと
「さっきのイケメンくんがいるからもういいじゃん?」



なんなのこの人。
黙って聞いてれば好き勝手言って。


だいたいワカは…



「誰のものでもないと思いますけど」


「は?」


「あなたのものでもないし、あたしのものでもないですよ」



ワカはワカだもん。
人であって物ではない。



「なにあんた。殴られたい?あたしの人脈使えばあんたなんてすぐにいたい目あわせれんだよ?」



この人の言い方にほんのわずかな恐怖心はあったけど。
でも、あたしだってバカじゃない。
許せないものは許せない。



「なにやってるの?」



階段の下から落ち着いた声が聞こえる。



「高谷くん…」


「赤嶺ずっとそこいる気がして気になって」


「ふーん。さっきのね。あんたの女?こいつ」


「はい?」



高谷くんが険しい顔になる。



「あんたがいるから大輝くんを返してって言ったの」


「は?大輝って?」



高谷くんにわかるわけがない。
この大学の生徒じゃないんだから。

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