空と君とダイヤモンドと
「それは、過去の話です」



たしかに彼はあたしのこと好きだった。



「ワカは涼香さんのことが好きだったんですか?」


「え?」



〝涼香さん〟たしかワカがそう呼んでいた。
塁くんに言うのになんて言ったらいいかわからなくて。
名前を告げてみる。



「なんで、涼香がでてくる?」


「さっき、架純に電話したときに涼香さんと話したんです」


「…うん」



さっきのことを思い出しただけで胸が痛い。



「涼香さん、あたしとワカがデートしてたのはともかく〝何があったか知ってる〟って。だから、ワカは涼香さんと…」


「それはないだろ。涼香となんて。たしかに好きだったけど、それはないはずだろ、そんなん…」



塁くんも混乱してるのか表情が崩れる。



「ごめんなさい。混乱させて…」


「いや、俺は大丈夫だけど…涼香のヤツなんでそんなこと…」


「もういいんです。別れたのは事実ですから」



そう。
だれが何を言おうと変えられない事実。
夢だったらいいのにって思った。

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