空と君とダイヤモンドと
「まぁ、ワカにはワカの考えがあるんじゃないかな?」


「…考え?」


「ん。あいつが瑛梨奈ちゃんのこと好きじゃなくなるわけはないと思うから」



でも…。
言われてしまったから。
あたしはそれを信じる他はない。



「塁くんは誰が好きなんですか?」


「俺の好きな人、か」



塁君がフッと笑って



「内緒」



あたしの唇に自分の人差し指を縦に乗せる。



━━トクンッ



ワカを好きになって失くしていたはずの想いが蘇りそうになる。
塁くんに触られた唇が熱い。



「塁、くん」


「ん?」


「あたしとしばらくは一緒にいてくださいね」



塁くんの手に自分の手を重ねる。



「瑛梨奈ちゃんの気が済むまで一緒にいるよ」


「ありがとう」



もしかしたら、塁くんと始められるのかもしれない。
塁くんがあたしを好きでいてくれるなら。


もしかしたらそれをワカが望んでくれのかもしれない。
それならそれに従うよ。



「にしても、瑛梨奈ちゃんは鈍感だ」



塁くんがそう呟いていたのはあたしの耳には入らなかった。

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