空と君とダイヤモンドと
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ジョギングから帰ると寮の前のベンチに瑛梨奈が座っていた。
なにも言うつもりもなかった。
いつものように避けようとしていた。

なのに



俺を見上げるその顔がやっぱりどうしても可愛くて。
俺以外の男ってか累さんに見せてんだなって思ったら悔しくて。
身を引くって決めたの自分のくせに勝手に口が動く。



「なにしてんの?」



瑛梨奈は一瞬考えたあと



「累くん、待ってる」



そう答えた。


そんなのわかりきったことだった。
今日がなんの日かなんてわかってる。
去年の自分がどれほど喜んだかも覚えてる。



「今日、バレンタインだろ?デートってつきあってんの?」



2人がまだ付き合ってないことなんて知ってる。
でも、いい関係なのもわかってる。
壊してしまいたいなんてそんなことはない。
でも、俺だって好きなんだ。瑛梨奈を。
瑛梨奈が幸せになれるなら死ねるぐらいには好きだよ。

最近離れてからかな、そう思う。

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