空と君とダイヤモンドと
「どっちでも、いいじゃん…」



俺から目をそらそうとする瑛梨奈に
もう心は累さんだなと感じる。

いや、元々俺になんて向いたことなかったか。



「俺には関係ないか。付き合う必要のなかった元彼だもんな」



〝必要のなかった〟って言って自分できずついてる。
こんな心なんてなくなってしまえばいいのに。



「そんなことなんで言うの…」


「チョコちょーだいよ」



俺は瑛梨奈に手を伸ばした。



「え?」


「瑛梨奈のチョコ欲しい」



瑛梨奈と同じ目線になるようにしゃがんでもう一度手を伸ばす。



「なん、で…」



泣きそうな顔になる瑛梨奈にハッとする。

何やってんだよ。俺は。
瑛梨奈はまえに進もうとしているのに。
どうしても俺のことを考えて欲しいなんてバカなのか。
バカでもいい。瑛梨奈のことが好きなんだ。



「冗談だよ。累さんと楽しんでな」



瑛梨奈の頭に軽く触れて



「じゃあな」



寮の中に入っていく。

< 237 / 533 >

この作品をシェア

pagetop