空と君とダイヤモンドと
「あれ?ワカ?」



寮の階段から累さんが降りてくる。



「累さん」


「ジョギング?」


「はい。部活休みなんで」



休みの日もこうして走ることは変わらない。
まぁこうでもしてないと考えてしまうからなんだけど。



「偉いな」


「デートっすか?瑛梨奈いましたよ」


「あー、うん」



少し嬉しそうな累さん。
早く付き合ってくれればいいのに。



「早く付き合ってくださいよ」


「うるせーな。俺には俺のタイミングがあんの」



〝じゃあな〟
と言い残して寮を出ていく。



俺も瑛梨奈と待ち合わせがしたい。
当たり前のように過ごせていた頃に戻りたいともう何度も思っただろうか。
どうしてあの日俺は涼香さんを追いかけたりしたのだろうか。
していなけれぱ今頃もっと俺は幸せだったのかもしれない。



「んなの今更言ってもな…」



良基も出かけたらしい部屋はガランとしていて静かだった。

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