空と君とダイヤモンドと
「もう遅いよな。でも好きなんだよね。俺」



ワカがぐっとあたしを引っ張ってベンチに押し倒す。



「ちょ…ワカ」


「風邪ひいててもさ、男だから俺。叶わないよ」



ワカのいうとおり、ワカの力に叶いっこない。



「でも、こんなのダメだよ!」


「なにが?」


「なにがって…いまワカがしてることだよ」



この人は本当にさっきまで横たわっていた人だろうか。



「俺、瑛梨奈のことベンチに寝せただけじゃない?」


「へ?」


「何もしてないよ?するつもりもないよ?」



ワカの言葉に自分の顔が赤くなっていくのがわかる。
勘違いほど恥ずかしいものはない。



「からかわないで!!!」



あたしはワカを突き飛ばして、ベンチから起き上がる。



「馬鹿力」


「もう元気なら知らない!良基でも待ってたら?」



あたしはそのままその場から去ろうとする。



「さっき、好きっていたのは本気だからね」



ワカの言葉には振り向かなかった。
いや、振り向けなかった。
ワカに引き戻されてしまいそうで。

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