空と君とダイヤモンドと
「彼も野球やってたんだ?」


「はい。こっちの大学で。高校まではあたしたちずっと一緒だったんです」



楽しかったなーと思い出す。
こっちにいる間はずーっと星那が大好きで。
できるならまた彼の野球を近くで見たいって思いはある。



「彼のこと好きだった?」


「あー。まぁ…でも昔のことですよ」


「だよね」



にこっと笑う。

ワカならここで機嫌悪くなるのに塁くんはやっぱり大人だ。
ってまたワカのことをかんがえてしまう。



「ワカなら怒るって?」


「え?」


「瑛梨奈ちゃんの考えてることなんとなーくだけどわかるよ」



真剣な瞳で見つめられてドキドキというより怖い。
心を見透かされてるようで。



「まぁ、たしかにワカは怒りますね…」



曖昧に濁すことしかできない。



「彼のことはなんとも思わないよ。俺は」


「…そうですか」


「いまは何とも思ってなさそうだからね。でも、ワカは違うでしょ?」



塁くんの確信めいた言葉にごまかせないんだと思い知る。

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