空と君とダイヤモンドと
「でも、あたしが好きなのは塁くんです」



そう言って自分をセーブしないと溢れてしまいそうだから。



「ワカのことを気になるのは仕方ないと思うよ。そう仕向けたのは俺だしね」


「え?」


「俺が瑛梨奈ちゃんから離れるときにワカに頼んだから。瑛梨奈ちゃんのこと」



ワカにあたしといるように頼んだから、ワカはあたしといてくれたのかな。
いや、それは違う。
ワカがいたかったからいたはずだ。



「でも、ワカと付き合ったのはあたしの意思なんで」


「うん。わかってる。でも、俺があの時離れなかったらこうはなってなかったから。ワカに気持ちがいってたとしても俺のせいなんだ。力ずくで取り戻すけど」



力強いその言葉に真剣さが伺える。



「あたしは何度も言うけど、塁くん以外と付き合うつもりなんてないんで安心してください」


「うん。信じる」



塁くんの〝信じる〟という言葉を無駄にはしたくない。
塁くんの笑顔を守るのはあたしだから。

< 284 / 533 >

この作品をシェア

pagetop