空と君とダイヤモンドと
「わかってる。お前、どっちも好きなんだよな?」



あたしはワカの言葉にこくんと頷く。



「どっちかに決めるなんてことできない…」


「それでいいんだ。1度付き合った塁さんと別れるなんてお前はできないはずだ」



あたしよりもあたしのことがわかっているようで。
ワカは本当にあたし通だなって思う。



「そう、だね」


「なぁ、これ俺があげたやつではないね」



あたしの首にしてるネックレスに触れる。



「これは塁くんの」


「だよな」


「足、見てよ」



あたしはミュールを履いている足元を指さす。



「ん?」



ワカがあたしの言葉に視線を足元に移す。



「…これ」



しゃがんであたしの足元についているものに触れる。



「ここに付けたんだ。短めのチェーンにかえて」


「嬉し」



立ち上がったワカはすごく笑顔だった。



「こうして、俺を思ってくれてることがわかっただけで十分だから」



そっとあたしを抱きしめる。

< 291 / 533 >

この作品をシェア

pagetop