空と君とダイヤモンドと
「なんでもない」



ふと笑って



「そろそろ入るか。秋は寒いよ」



季節はもう10月。



「あたしにとってはまだこんなの秋とはいえませんけどね」



北海道を離れて2年半も経つが、まだ寒さは感じられない。
まだ北海道っこの体温だ。



「すげぇよな。そーいう寒いとこで育ってきたから瑛梨奈ちゃんは強いんだな」


「強い?」



言われたことのないその言葉に〝へっ?〟と声が漏れる。



「瑛梨奈ちゃんは俺にないものをたくさん持ってる。だから惹かれたのかな」


「そんなの塁くんだって。たくさんあたしにないものを持ってるし、あたしにたくさんのものをくれてる」



〝ありがとう〟
じゃ足りないぐらいのものをたくさん塁くんにもらってる。



だからあたしは………───


塁くんといる。
ワカのことが好きだとわかったいまでも。
塁くんのことをずっとずっと好きだと心に誓って。

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