空と君とダイヤモンドと
「1位ってほんとあいつはすげーよ」



隣に戻ってきた塁くんがふっと笑う。



「あとは待つのみですね」


「あぁ」



塁くんがあたしの手を握る。



「塁くんでも緊張するんですね。本当に」


「俺でもってなんだよ」



塁くんっていつも堂々としてるから。
だから、野球カンケイのことで緊張するなんてことはない人なんだと思ってた。
信頼のおける我らがキャプテンだったから。



「塁くんも人間だぁ」


「当たり前だろ」



こんなふうに話しながら少しでも塁くんの緊張が溶けるといいなって思ってた。

そして、できることなら。
塁くんをどこかの球団が選んでくれるように願わずにはいられなかった。



「もう6位か…」



塁くんと話してるうちにテレビでは6位指名まで進んでいたようだった。
その間、塁くんの名前は呼ばれていなかった。



「あともうちょっとですね…」



6位にもなると、そろそろ指名が終わる球団が出てくるころだ。

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