空と君とダイヤモンドと
「そ。野球部のグラウンド。こっちが野球部の寮」
グラウンドの反対側の建物を指す。
「お疲れ様っす」
寮から1人の男の子が出てくる。
「おー!若松(ワカマツ)!見学か?」
「はい。塁さん練習するらしいので」
「そっかー!こいつも見学するからよろしくなー」
あたしの背中をポンッと叩く。
「は?女?」
若松と呼ばれた彼が怪訝な顔になる。
「マネージャーやるんだよ。若松と同じ新入生」
「ふーん」
興味無さそうに返事してグラウンドに向かう。
…感じ悪っ。
それが若松という人への第一印象だった。
「とりあえずその荷物部屋に置きにいくか」
皐月くんがあたしの手からキャリーケースを取る。
「あ、うん」
皐月くんについていく。
「あたしの部屋って?」
あたしは野球部の寮を見上げる。
さすがに男ばかりのところに女1人はきつい。