空と君とダイヤモンドと
「ドラフトはどこから選ばれるかわかんねぇからな。北海道じゃなかったら安定したら瑛梨奈ちゃんを迎えにいくから」



夢見たいな約束。
でも、夢じゃない。
塁くんは本気だ。



「もうベランダを開けても瑛梨奈ちゃんがいないのは寂しいな」


「あたしも。もうこうやってベランダを開けても塁くんに会えないんだ」



今までが贅沢だった。
夜寝る前に塁くんの顔をみておやすみができていた。
でも、これからそれがなくなる。



「毎日寝る前に電話するから」



塁くんがスマホを手に取る。



「うん。待ってるよ」


「だから、ここに入ったヤツと必要以上に仲良くなったらダメだよ」


「ならないよー」



塁くんのように、毎日ベランダに出ていくようの存在には巡り会えないと思う。
塁くんだから毎日でもここで会いたいと思ったんだ。



「ワカでもダメだよ?」



〝ワカ〟の名前にちくんと胸が痛む。
ワカだったらどうするんだろうあたしは。

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