空と君とダイヤモンドと
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「あ、塁くん」



聞きなれた着信音が机の上に置いたスマホを鳴らす。



「もしもし!」



毎日の日課のこの時間。
この瞬間が大好きだ。



『瑛梨奈ちゃん、こんばんは』


「ふふ。こんばんは」


『瑛梨奈ちゃんさ、俺に隠してることあるでしょ?』


「え?」



塁くんのいう〝隠してること〟がなんなのかわかんなくて戸惑う。



『俺の部屋』


「あっ」



塁くんの言葉にずっと言えてなかったワカのことだって気がつく。


ワカが塁くんの部屋にきてからもう2週間。
あれから毎日ベランダで会っている。
さっきも会ってきたところだった。



『なんで、すぐにいってくれないの?』


「大した意味なんかないの…」



別に言えばよかったのに。
言えないでいたのはなんだろう。

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