空と君とダイヤモンドと
「ふは。そうだね。いまは就活に専念して」


「うん」


「決まったらお祝いにどこか泊まりで行こうか」



あたしの考えを汲み取った塁くんの言葉に胸が暖かくなる。

塁くんはこうやって、あたしの心を読み取るのが上手い。
そういうところにすごく惹かれていく。



「うん!それを楽しみに頑張る」


「焦らないで頑張るんだよ」



あたしの手を塁くんの手で包み込む。



「え?」



何か手のひらに紙があたる感触を感じる。



「ありきたりだけどね、お守り」



手のひらに乗せられたものを見てみれば
赤くて〝就勝守〟って書かれたお守りがそこにはあった。



「買ってきてくれたの?」


「東京に有名なとこがあるって部署の人に聞いたんだ」



塁くんは普段は仕事をしていないけど、月に1度だけ出社日があって、部署はちゃんと所属されている。



「忙しいのにありがとう!」



嬉しくなって塁くんに抱きつく。

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