空と君とダイヤモンドと
「いいよ。そんな喜んでもらえるなんてそれだけで嬉しいよ」


「ふふ。本当嬉しい」


「ほんとに行こうか。あいつら多分待ちくたびれてる」



あたしの手を握って今度こそ歩きはじめる。



「待ってなくてもいいのになぁ」


「俺が頼んだんだ。1人で帰らせるのはなんとなく心配だから」


「歩き慣れてる道だから大丈夫なのに」



野球部のグラウンドから最寄り駅までも20分くらい歩く。
ただひたすら坂を登ればいいだけなんだけどね。



「だーめ。暗くなるんだし瑛梨奈ちゃん女の子なんだから」


「うっ。ありがとう」



心配してくれるのは凄く嬉しいけど。
待ってなかったらもう少し長く塁くんといれるのになぁなんて考えてしまう。



「就活終わったらさ、1日いれる時間作るから。な?」



塁くんが優しい顔になる。
自分の考えが読まれているのかと恥ずかしくなる。


「…わかった」


と答えたときには目の前が駅だった。

< 369 / 533 >

この作品をシェア

pagetop