空と君とダイヤモンドと
「なかなかどっちも点数入らんなぁ」



さすがは決勝。
どちらもチャンスがあってもあと1本が出ないという状況が続いてすでに9回表。



とりあえずここで星那が抑えたらあとは星那の大学がサヨナラをすれば勝てるという状況。
サヨナラだってできるかわかんないけど、サヨナラできなくても延長になる。



「あいつ、スタミナあんな」


「…うん」



1人で9回まで投げているんだ。
もちろん高校時代からそうだった。
星那は結構タフなんだ。



「あいつ、卒業したらどーすんだろ?」


「…うん。野球はやめるみたいだよ」


「もったいねぇな」



あたしもそうは思ったけど人の人生だ。
あたしたちに何かを言う権利はない。



「最後だから、この大会絶対優勝したいんだって言ってた」



この大会の前の日かな。
星那と電話で話した時に言ってた。



「そっかぁ。じゃあなんとしても勝たねーとな。よし、抑えた」



1回から9回まで本当に真剣にワカは試合を見てくれていた。
本当に野球を見るのが好きだなぁって思う。

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