空と君とダイヤモンドと
「か、過去だろ!過去!」



ワカがあたしの手をぎゅっと握る。

こういうときのワカはなんて頼もしいんだろう。



「…今は違うんだよな?」


「うん。違う」


「そか。なんか俺いろいろ無神経だったかもな」



星那が自分の髪の毛をくしゃっと触る。
これは気まずいときのくせ。
星那はいま気まずいって思っちゃってる。



「大丈夫。もともと言うつもりもなかったから。優勝おめでとう。ワカ行こう」



あたしはワカの手を握り直して歩き出す。



「いいのかよ」


「うん。気持ちがバレたら終わりなんだ。気まずいと思われてる」


「なんでそんなことわかんだよ」


「星那が気まずいときにどんなふうになるかなんてよく知ってる」



小さい頃から一緒だったんだ。
彼のくせなんて痛いほどよくわかってる。



「瑛梨奈、待って!」



バタバタとでかい足音が聞こえて、すごい焦って追いかけてきてくれてるって分かる。

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