空と君とダイヤモンドと
━━ゴクッ



息を飲む試合展開。
カウントはバッター優勢だ。

でも、ワカなら。
きっと抑えてくれる。



━━カキーンッ



バッターが打った打球はそのまんま弧を描き



「ホームラン…」



完璧な当たりだった。



バッターがダイヤモンドを駆け抜ける。
それをぼーっとただ見送るワカ。



「サヨナラだ…」



9回裏同点の場面だった。



「…ワカ」



マウンドのワカを見るとただ空を見上げていた。


塁くんがワカの頭をポンッと叩いて一緒に歩いてくるのが見える。



「お疲れ!」



ベンチに戻ってくる選手に声をかける。


あたしたちのベンチとはうって変わって
相手ベンチはお祝いムードだ。



「さ、整列だよ!」



あたしはワカに笑顔で声をかける。
あたしまで暗くなってた更にワカを落ち込ませちゃうから。



「…ん」



ベンチにグローブを置いてグラウンドに向かう。


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