空と君とダイヤモンドと
「部長とかと見に来てるみたいだからね」



社会人野球には部長というのがいるが、この人は野球をする人ではない。もちろん、元選手ではあるが。



「来年からは良基もこのチームでやるんだもんなぁ」


「寂しい?」


「まぁなー。4年間ずっとあいつとは一緒だったからな」



ワカと良基がずっと一緒にやってきたことをあたしは知ってる。
いつと元気な良基といつも面倒そうなワカ。
そのふたりの組み合わせがしっくりくるんだよね。



「来年からはみんな別々なんだもんね」



それはワカと良基だけではない。
あたしも北海道に帰るし、架純は福岡に帰ってしまう。



「卒業前に4人でたくさん遊んどこうぜ」



ワカがポンポンと頭を撫でてくれるとなんだか安心する。
一緒にいることが当たり前のあたしたちだったよな。



「お、はじまる」



試合開始のアナウンスが流れ、それぞれの会社のたぶん誰かの子供なのだろう、小学生ぐらいの子が始球式をしている。



「2人いっぺんに投げるんだ」


「そうこの大会いつもこうなんだよ」



たぶん、ワカは何度もいままでにこの大会を見にきたことがあるのだろう。
あたしなんね初めて来たぐらいなのに。

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