空と君とダイヤモンドと
「試合動かねぇなー」


「やっぱ決勝ってすごいね」



どっちも投手戦でいつの間にか8回の裏まできている。
スコアは0-0のまま。
星那の試合でも思ったけど、やっぱ決勝戦は五分五分の戦いなんだなぁ。
勝ち抜いてきた二チームしかたどり着かないこの試合。
やっぱり実力のある二チームなんだ。



「お、塁さんの打席!」


「わっ!頑張って!」



あたしはバッターボックスに立つ塁くんを祈るように見つめる。



1球目…塁くんのバッドが空を切りストライク
2球目…塁くんが見送り振らずにボール
3球目…塁くんのバッドがボールに当たる。



「あっ…」


「おっ…」



あたしもワカとそこで言葉が途切れる。
塁くんのバッドから放たれたボールが放物線を描いてスタンドに向かっているから。

全てからスローのようにみえた。
スロー再生されたかのような映像に見える。



「わぁぁぁぁ!」



あたしたちのいる一塁スタンドから大歓声あがる。

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