空と君とダイヤモンドと
「んー。離れたくないけど行かなきゃ」



ポケットの中からスマホを出してため息をつく。



「もう時間?」


「うん。バス出るぞって北川さんが」



スマホの画面をあたしに見せてくる。



「わっ!ほんとだ。はやく行かなきゃ」


「うん。行くよ。でも待って」



ぐいっと腕を引っ張られたかと思うと目の前は塁くんの厚い胸板。



「塁、くん?」


「充電。瑛梨奈ちゃん夏休みは北海道帰るんでしょ?キャンプもあるし就活もだし」


「うん。夏休み最初からあっちかなー。キャンプ中に決めたいなーって思ってるよ。キャンプは全然行けないけどね」



もうすぐさいごの毎年恒例北海道キャンプがやってくる。
あたしは就活あるし、実家で過ごす予定だけど。



「また会えなくなるからさ。充電。就職決まったらデートしようね」



おでこにチュッとキスをされる。



「うん」



就職が決まるまではなかなか塁くんとデートができない覚悟はできてた。
塁くんも塁くんで毎日忙しいし。

でも、決まれば明るい未来がまっている。



「塁くん、優勝おめでとう」


< 399 / 533 >

この作品をシェア

pagetop