空と君とダイヤモンドと
「昨日さ、Fのスカウトの人たちきてたんだ」


「え?ほんと?」



Fとは北海道の球団だ。




「だから、俺アピールしたくてさ」


「アピール?」


「うん。Fに入れば、瑛梨奈と近くでいられるから」



それは、プロに入ってもあたしの近くにいてくれるというワカの意思表示だった。



「…ワカ」


「こんな不純な動機だけどさ、ちゃんとした理由もあるよ」



ワカが楽しそうな顔をしてはなす。

あ、野球が大好きなワカの顔してる。



「Fってさ一軍は北海道だけど二軍は違うじゃん」


「あぁ。そうだね」



冬が寒い北海道ではオフの練習が難しためにわざと2軍を道外に置いているんだ。



「はじめはもちろん2軍だろうから、北海道にはこれない。でも、一軍が離れてるぶんはやくそっちにいきたいって気持ちが強くなると思うんだ。一軍じゃないと瑛梨奈にも会えないしね」



ワカが最後の言葉でふっと笑う。

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