空と君とダイヤモンドと
『北海道F 6巡目指名』



食堂内のみんなの息を飲むような雰囲気が感じとられる。
たった1人。
俺だけのためにここにみんないてくれる。



『若松大輝 投手 K大』



その瞬間俺は目を閉じた。
叶った、俺の夢が。
父さんの夢が叶った。



「わーーーーー!!」



食堂中から歓声があがる。



「…ワカ、よかったね」



瑛梨奈なんか涙ぐんでるし。



「なに泣いてんだよ」


「な、泣いてないよ」


「涙出てますけどね」



そんなやり取りをしながら俺も泣きそうになっちまったけど。



「つーかわかってる?」


「え?」



俺がそんなことを聞いてみればキョトンとする。



「俺、Fに選ばれたんだよ?」


「あっ…」


「今気づいたんかよ」



俺の執念が実ったんだろうか。
どうしても瑛梨奈の近くにいたいっていう執念。



「ワカの言った通りになっちゃった」



少し照れくさそうに笑う瑛梨奈にまた俺は恋を増やすんだ。

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