空と君とダイヤモンドと
「ワカ、スマホ」



テーブルのうえのスマホを瑛梨奈が持ってくる。



「あ、さんきゅ」



画面を見ると〝父さん〟と表示されてる。



「もしもし」



瑛梨奈に〝ちょっと抜ける〟と目で合図をするとこくんと頷いてくれたから、俺は外へ出て父さんの電話に応答する。



『大輝よかったな』


「あぁ。マジ呼ばれなすぎて焦ったけど」


『はは。下位だけど受けるんだろ?』


「当たり前。上位がいいとか贅沢言ってられる立場じゃないし」



前の俺なら上位がいいとかいって社会人で2年やってからとか考えていたんだろうな。
自分の力を過信してたから。
でも実際は行けるタイミングを逃したら次の機会で選ばれるなんていう保障はどこにもない。俺はそんなリスクは負えない。



『成長したな』



電話の向こうの父さんはなんだか嬉しそうだった。



「そうかな?」



もし、そうだとしたら。
それは、瑛梨奈と過ごして来たことで俺が変わったんだろうな。

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