空と君とダイヤモンドと
「俺に迷惑って、そんなとこでもお前は人のこと考えてんの?」


「だって…」


「俺の地元の友達とか言いまくってるぞー」



おかしそうに笑う。



「サインもらってきてとか言われるかもしれないし」


「そんなん別に書くだろ」


「ワカの手を煩わせたくない」


「…ントにお前は。バカだな」



ふわっとしたワカの香りに包まれて、ワカに抱きしめられていると気づく。



「…ワカ?」


「人のこと考えすぎ。なんだよお前。どんだけ俺を好きにさせれば気が済むの。むかつく」



〝むかつく〟
と言いながらも彼の顔はとても優しい顔をしていた。



「…ワカ」


「サイン厨ばっか集まってくんのによ。どうしてお前はそやって俺のこと考えてくれんの」



プロになるといままで疎遠だった人たちが近づいてくるって前に塁くんに聞いたことがある。
あたしは絶対にワカを困らせないって決めたんだ。

そんなの悲しすぎるでしょ。

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