空と君とダイヤモンドと
「俺の最後のお願い」


「最後?」


「大学生活の思い出ちょうだい」



頬を両手で包まれる。



「…思い出?」


「うん。その時だけでいい。俺の彼女になって」



ワカの言葉は震えていて。
それだけで彼が本気なんだって気づいた。

だから、断るなんてあたしには出来なくて。
でも、塁くんに悪いって思いがあるからやっぱり断らなきゃならなくて。



「…ごめん。クリスマスは同期の子達と過ごすの」



嘘をついた。



塁くんを傷つけることなんかしたくないって思ってるのに。
でも、ワカのことを傷つけたくなくて。
塁くんに悪いからとは言えなかった。



「そっか。ごめんな変なこと言って」


「ううん。こちらこそ」



ワカとのクリスマス。
付き合ってた時に1度あったけど、あの時は途中で終わってしまったね。


「…じゃあ、次は卒業式だな。その日こそは少し時間もらうからな」


「…うん」



ワカとはそんな話をしてその日は終わった。

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