空と君とダイヤモンドと
「花道通ってボールなげてくんだろ?」


「みたいだね」


「彼女、花道とってくれたみたいだからボール手渡しするわ」


「いいねー。幸せもの」



俺も彼女がいたらそのぐらいしてるのかな。
自分はいままでろくでもない付き合い方しかして来なかった。
唯一本気で付き合ったのは瑛梨奈だけ。たった数ヶ月だけど俺の中ではいままでの彼女の何倍も幸せな日々だった。



「次だぞ」



椎名に言われて隣を見ればドラフト5位の牧田までマイクが来ていた。



「なに、いうんだっけ」


「名前、大学、豊富でいいと思う」


「…わかった」



人前で話すのは嫌いではないけど。
でも、こんなに大勢の前で話すのはじめてだから。
なんだか緊張するけど、ダサいと思われたくないし。



「K大からきました若松大輝。背番号40です。一日もはやくこの札幌ドームで投げれるよう、そしてみなさんに顔と名前を覚えてもらえるよう頑張るので応援お願いします」



シンプルイズザベスト。
椎名にマイクを渡す。

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