空と君とダイヤモンドと
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『ねぇーたまには迎えにきてよー会社にっ』



電話の向こうから聞こえる甘い声。



「は?なんのためにだよ」


『いいじゃない。デートしよ』



語尾にハートでもついているんじゃないかって言葉に心底寒気がする。



「勝手に言ってろ」



無理やり電話を切る。



「また加耶ちゃん?」



食堂にあくびをしながら降りてきた椎名。



「…お前が紹介してくる女まじでめんどくせー」



加耶とは先月椎名が開いた合コンで知り合った。
女になんか興味も感じねぇから、行かねぇって言ってるのに定期的にこいつは合コンに連れていく。



「お前に彼女できてほしいんだよ」


「うるせー、いらんつってんだろが」



なんでこいつはこうも俺に女を紹介してくんのか。



「いい加減忘れたら?瑛梨奈ちゃん?」



椎名が出した名前にご飯を食べる手が止まる。

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